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年末調整の基礎|計算の流れや注意点について紹介

従業員を雇用する多くの企業には年末調整の業務が発生します。
毎年11月、12月頃からこの作業が必要となり、従業員とのやり取り、多くの確認作業も発生することでしょう。
年末調整の基本的な考え方から具体的な実務の手順、注意すべきポイントまでここで説明していますのでぜひ参考にしてください。

年末調整とは

従業員の所得税を適切に徴収・納付する義務を負う企業にとって、年末調整は重要な税務手続きです。これは、従業員から毎月源泉徴収している所得税について、年間の正確な税額を計算し、過不足を調整する手続きを指します。

企業は毎月、従業員の給与から概算で所得税を源泉徴収していますが、実際の税額は年間の総所得や各種控除をすべて考慮して計算する必要があります。

なお、企業は以下の従業員について年末調整を実施する必要があります

対象者内容
継続勤務者1月1日~12月31日まで継続して勤務している従業員。
年途中入社者ある年の入社~12月31日まで勤務している従業員。
特定の理由で退職した者死亡退職や重度障害による退職、その他特別な事情で退職した者。この場合は退職時に年末調整が行われる。

一方、「給与収入が2,000万円を超える従業員」については年末調整の対象外です。

年末調整の手順

年末調整の業務を行うスケジュール、計算の流れなどを押さえておきましょう。

全体のスケジュール

年末調整が可能となるのは「1年間の支給額の確定」のあとです。そのため本格的に作業に着手するのは年末~年始にかけてです。

ただ、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を従業員に渡して必要事項を記入してもらう作業など前もって進められることもあります。そのため書類のやり取りに関しては11月頃に始めることもあります。

年間の給与が確定すると年末調整の計算を開始し、その結果に応じて不足額を徴収したり還付したりし、源泉徴収票も作成します。その後は源泉所得税を納付。法定調書合計表等の作成も行います。

計算方法

年末調整は以下の手順で計算されます。

  1. 年間の「給与総額」の計算
    → その年に支払われた給与や賞与の総額を集計する。
  2. 給与所得控除の適用
    → 「給与総額」から給与所得控除額を差し引き、「給与所得額」を算出する。
  3. 所得控除の適用
    → 所得控除(以下がその例)を差し引き、「課税給与所得額」を算出する。
    1. 基礎控除
    1. 配偶者控除
    1. 配偶者特別控除
    1. 扶養控除
    1. ひとり親控除
    1. 寡婦控除
    1. 勤労学生控除
    1. 障害者控除
    1. 社会保険料控除
    1. 生命保険料控除
    1. 地震保険料控除
  4. 「所得税額」の計算
    → 「課税給与所得額」に対して所得税率(税率は課税給与所得額に応じて次のように異なる)を掛けて「所得税額」を求める。
    1. 1,949,000円以下・・・5%
    1. 3,299,000円以下・・・10%(控除額97,500円)
    1. 6,949,000円以下・・・20%(控除額427,500円)
    1. 8,999,000円以下・・・23%(控除額636,000円)
    1. 17,999,000円以下・・・33%(控除額1,536,000円)
    1. 39,999,000円以下・・・40%(控除額2,796,000円)
    1. 40,000,000円以上・・・45%(控除額4,796,000円)
  5. 住宅ローン控除などの適用
    → 該当する場合は住宅ローン控除などを差し引く。
  6. 復興特別所得税の加算
    → 「所得税額」に復興特別所得税(2.1%)を加えて「年調年税額」を求める。
    → 復興特別所得税の課税は一時的とはされているが、2037年までは予定されている。
  7. 過不足の精算
    → 計算された「年調年税額」と、源泉徴収された税額との差額を精算。
    → 追加で徴収すべき金額、または還付すべき金額が明らかになる。

年末調整の注意点

年末調整の実務において、人事・給与担当者の方はさまざまな確認事項に注意を払う必要があります。特に、従業員から提出される書類の内容確認と、計算ミスには留意してください。

例えば扶養控除等申告書における扶養親族の記載について、前年からの変更有無の確認を忘れないようにしましょう。結婚、出産、就職などにより扶養状況が変わることも珍しくありません。

給与計算では非課税所得の取り扱いに留意してください。通勤手当や残業代、各種手当の課税・非課税区分を正しく判断し、年間給与総額に適切に反映させなければなりません。

また、マイナンバー関連の事務処理では、個人情報保護の観点から、書類の取り扱いや保管には特に慎重になるべきです。提出された書類は厳重に管理し、権限のある担当者以外が閲覧できない体制を整えることが大事です。

年末調整の結果が従業員の生活にも影響を与えるということを認識し、担当の方は細心の注意を払って作業を行うようにしましょう。

損金に算入できる税金と不算入になる税金~租税公課の処理について~

企業が事業を営む過程で発生するさまざまな税金・公的負担に関して、どれが損金として計上でき、どれができないのか、判断を誤らないようにしましょう。租税公課の処理にミスがあると正しく法人税を算出できません。

損金算入できる税金と不算入となる税金について、ここで具体例を取り上げながら紹介していますので会計処理に関わる方はぜひ参考にしてください。

租税公課の損金算入の基本ルール

租税公課の損金算入に対しては、「法人の事業活動に関連して課される税金や公課は損金算入を認めるが、法人の所得そのものに課される税金や罰則的性格を持つものは損金算入が認められない」と考えます。

この区分の根拠は、損金の概念にあります。そもそも損金とは、法人の所得金額の計算上、収益から控除される費用や損失のことを指します。そのため事業活動に必要な費用として支払うお金であれば損金となりますが、その際所得に対して課される税金を損金としてしまうと税金で税金を控除することになり、税制の趣旨に反してしまうのです。

また、違反行為に対する制裁として課される罰金や加算税に関しては、社会政策的な観点から損金算入を認めないこととされています。これにより、違反に対する抑制効果もはたらくと考えられています。

損金算入できる税金

事業活動に関連して課される税金の多くは、損金算入が認められます。損金として認められる税金各種の具体例を見ていきましょう。

事業に直接関連する税金

「法人事業税」は、損金算入可能な税金の代表例です。これは法人が行う事業そのものに対して課される税金であり、事業活動の対価として支払う性格を持つため、全額の算入が可能です。

※個人事業主の場合も同様で、「個人事業税」は必要経費として控除できる。

「自動車税」や「軽自動車税」についても、事業用車両に係るものは損金算入の対象となります。営業活動や商品配送など、事業目的で使用する車両の税金は当然に事業費用として認められます。
ただし、役員や従業員の通勤専用車両など、私的利用の要素が強い場合には、その使用実態に応じて算入額を按分しなくてはなりません。

※走行距離や利用時間、利用頻度など、合理的な基準を用いて按分し、事業利用分のみを算入する。

資産や取引に関連する税金

「固定資産税」も、それが法人の所有する土地や建物、償却資産に対して課される税金であれば、全額損金算入します。事業用不動産であれば固定資産税も事業活動に必要な費用ですし、賃貸用不動産に関しても収益を得るための必要費用として算入が認められています。

また、土地や建物を購入する際に課される「不動産取得税」も同様です。この税金は取得した不動産の取得価額に含めて処理することも可能ですが、支払時に損金として処理することも認められています。実務では会計処理を統一することが重要ですので、その都度選択するのではなく、いずれか一方の方法を継続的に適用しなくてはなりません。

「印紙税」も、事業活動に関連して発生したのであればすべて算入できます。これは契約書や領収書などの書面(紙)に対し課される税金で、たとえば売買契約書・業務委託契約書・金銭消費貸借契約書など、さまざまな書面を作成したときに課されます。

※あくまで書面である場合に課される税金であり、電子データとして作成する領収書や契約書であればそもそも非課税。

「登録免許税」についても、事業に関連する登記手続きに要したのであれば算入可能です。たとえば会社設立時の登記、本店移転登記、役員変更登記など、企業の運営に必要な登記で支払った登録免許税は、事業のためにかかった費用として処理します。

消費税の取扱いに注意

「消費税」については、採用している経理方式(税抜経理方式と税込経理方式)によって取扱いが異なるため注意してください。

  • 税込経理方式・・・仕入や売上などの取引を、消費税を含めた税込金額で記帳する方式。日々の経理処理はシンプルになるが、消費税分も費用や収益として計上される。
  • 税抜経理方式・・・取引ごとで本体価格と消費税額を分けて記帳する方式。経理処理は少し複雑になるが、実際の損益は明確になる。

※いずれの方式を選ぶことも可能で、最終的な消費税の納付額も変わらない。

税込経理方式では納付すべき消費税を租税公課として損金に算入しますが、税抜経理方式の場合、日々の取引で消費税相当額を除外して処理しているため、消費税自体を損金に計上しません。自社の経理方式に応じて、適切に消費税の処理を行いましょう。

損金算入できない税金

上記の各種税金とは異なり、「法人の所得に直接課される税金」や「制裁的性格を持つ税金」に関しては損金算入が認められません。その例を紹介します。

法人の所得に課される税金

法人の所得に直接課される税金といえば「法人税」です。
これは損金不算入となる税金の代表例といえるでしょうこの取扱いは法人税法で明記されています。

内国法人が納付する法人税(延滞税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税を除く。以下この項において同じ。)の額及び地方法人税(延滞税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税を除く。以下この項において同じ。)の額は、第一号から第三号までに掲げる法人税の額及び第四号から第六号までに掲げる地方法人税の額を除き、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

引用:e-Gov法令検索 法人税法第38条第1項
https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000034

そこで法人税の申告を行う際は、会計上費用計上された法人税額を法人税申告書の別表4にて加算調整します。

「法人住民税」も同様に不算入とされています。法人住民税には、法人税額を基準として計算される税額割と資本金等の額や従業員数を基準とする均等割がありますが、そのいずれも算入は認められません。税額割については法人税と同じ性格を持ち、均等割についても法人の存在そのものに課される税金として、損金不算入の扱いとされているのです。

罰則的性格を持つ税金

損金不算入となる罰則的性格を持つ税金とは、「延滞税」や「加算税」のことです。

延滞税は、法定納期限までに税金を納付しなかった場合に課される利息的性格を持つ税金で、同時に納期限遵守を促す制裁的意味合いも含みます。

加算税にはさらに「過少申告加算税」「無申告加算税」「重加算税」があり、いずれも算入は認められません。これらの税金は税務申告の適正性を確保するための制裁措置であり、社会政策的観点から不算入の扱いになっています。

税金以外で損金不算入とされる公課には、たとえば刑罰として科される「罰金」や「科料」、行政罰として科される「過料」などがあります。罰金や科料は罪を犯したときに科されるペナルティで、事業遂行の過程で道路交通法違反、独占禁止法違反などを犯してしまうこともありますが、いくら事業に関わるといってもこれらを損金算入することはできません。支払いを行ったとしても、税務申告においては加算調整を行いましょう。

受取配当等の益金不算入制度をわかりやすく解説

法人税を計算するときは「受取配当等の益金不算入制度」について知っておく必要があります。この制度は、企業がほかの会社から受け取った配当金に関して、法人税の負担を軽減する仕組みになっています。

当記事では、この制度の基本的な考え方から具体的な計算方法まで、わかりやすく解説していきます。

受取配当金とは何か

受取配当等の益金不算入制度について考えるには、まず「受取配当金」とは何かを理解しなくてはなりません。

受取配当金とは、企業がほかの会社の株式を保有していることで受け取る配当金のことです。たとえば、X社がY社の株式を持っている場合、Y社が利益を上げて株主に配当金を支払うと、X社はその配当金を受け取ることになります。

《 他社の株式を持つ典型例 》

  • 長期的な付き合いや取引関係を強化したいとき
    → 長年の取引関係があって、今後も安定した関係を続けたいと考えているとき、X社がY社の株を買ったり、Y社がX社の株を買ったりすることがある。これにより両社の結びつきが強くなり、取引や協力関係の安定が期待される。
  • 経営を安定させたい
    → 外部からの急な買収や、経営方針を揺るがすような動きを防ぎたいときに、信頼できる会社同士で互いに株を持ち合うことがある。
  • 新しい事業や技術を得たい
    → 将来的に一緒に新しい事業を始めたり、相手方の会社の技術やノウハウを活用したりしたい場合に、その会社の株を買うことがある。
  • 資金を有効活用したい
    → 会社が余った資金を預金などに預けるだけでなく、将来性のある会社に投資することで、配当金や株価の値上がりによる利益を得ようとする場合がある。

また、株式の配当に加え投資信託の収益分配金や、投資法人からの金銭分配なども受取配当金に含みます。

企業の会計処理では、この受取配当金は「営業外収益」として損益計算書に計上されます。つまり、会計上は収益として扱われ、企業の利益を構成する要素としてカウントすることが認められます。

益金不算入は何を意味するか

「益金不算入」とは、簡単にいうと「法人税の計算において収益として数えない」という意味になります。益金不算入のものは、会計上は収益で計上したとしても、法人税の計算上の「益金」(法人税計算上の収益のこと)には含めないということです。

たとえば、100万円の受取配当金があった場合、会計上は当該会社が100万円の収益を得たものとして処理できますが、法人税について考えるときは益金不算入の適用を受けますのでその一部または全額が益金から除外されます。
結果として、その分だけ法人税課税の対象になる所得が減少し、納めるべき法人税額も少なくなります。

益金不算入となる金額は、株式の保有割合や保有目的によって異なります。すべての受取配当金が一律に益金不算入となるわけではないため注意してください。

なぜ受取配当金は益金不算入なのか

受取配当金が益金不算入になる理由は、「二重課税の排除」にあります。

配当金というものは、そもそも配当を支払う会社が法人税を支払った後に残った利益から株主へと分配されるものです。

たとえばY社が1,000万円の利益を上げ、300万円の法人税を支払ったとしましょう。残った700万円の中から株主であるX社に100万円の配当を渡し、X社がこの100万円の配当金に対してさらに法人税を支払わなければならないとすると、同じ利益に対して2度も法人税金が課されることになります。

この問題を解決するために、益金不算入の制度が設けられています。払い過ぎた法人税の還付金なども同様に扱います。

ただし、すべての配当に関して完全に益金への算入を排除する必要があるかというと、そうではありません。「企業支配を目的とした株式保有」と「単純な投資目的の株式保有」とでは、二重課税排除の必要性が異なることから、保有割合に応じて益金不算入の割合も設定されています。

受取配当等の益金不算入の方法

受取配当金の処理を行うときは、次のように株式の保有割合に応じて4つの区分に分け、それぞれで異なる不算入割合を適用します。

受取配当等の区分とそれぞれの不算入割合
完全子法人株式等 (100%の保有)・配当を支払う会社の株式を100%保有しているケース。親会社が子会社を完全にコントロールしたい場合などでこの形になる。
・受取配当金の全額が益金不算入
・完全に支配している子会社からの配当であり、実質的に同一組織内の資金移動と考えられるため
関連法人株式等 (1/3超~100%未満の保有)・株式保有割合が1/3を超えているケース。完全親会社ほどではないが、特定の会社に対して特に大きな影響力を行使したい場面でこの形になる。複数の会社で協力して新たな事業を立ち上げた場合など。
・この区分でも基本的には受取配当金の全額が益金不算入であるが「負債利子控除」という調整計算が行われる
※負債利子控除:株式取得のための借入金の利息相当額を配当金から差し引いて益金不算入額を計算する仕組みのこと。
その他の株式等 (5%超~1/3以下の保有)・株式保有割合が5%を超え1/3以下のケース。将来的に子会社化を検討している、将来的により取引関係を深めていきたいと考えている、などさまざまなニーズが考えられる。
・受取配当金の「50%」が益金不算入
・この区分は、ある程度の関係はあるものの、完全な支配関係にはない投資を想定している
非支配目的株式等 (5%以下の保有)・株式保有割合が5%以下のケース。配当金や株価上昇による利益を求めて、上場企業などに投資するときこの形になる。経営への関与などは考えておらず、単なる資産運用の一環。
・受取配当金の「20%」のみが益金不算入
・投資目的での株式保有と考えられるため、二重課税排除の必要性も限定的に考えられている

実務上の注意点

受取配当金等について益金不算入とする場合、正しい区分判定をするよう注意してください。たとえば「非支配目的株式等」であるにも関わらず「その他株式等」として計算してしまうなどのミスが起こらないようにしましょう。本来20%の不算入割合であるべきものを50%の割合で適用してしまうと、税額に大きな差が生じてしまいます。
そのため、保有割合を確認するだけでなく、完全子法人株式等→関連法人株式等→非支配目的株式等、とそれぞれの該当性をまずは判定していき、いずれにも該当しない場合にのみその他の株式等の区分に該当するものと判定すべきです。

また、関連法人株式等の区分にあたるときは「負債利子控除」に注意してください。この控除制度の趣旨は、株式から生じた配当金は益金に不算入とするのに対し、株式取得のための借入金の支払利息が損金に算入されることとのバランスを取ることにあります。
借金をして株式を買えば、その配当金が全額非課税になるという不合理を防ぐための仕組みです。負債利子控除の計算は複雑ですのでミスしないよう注意し、できれば税理士に対応を任せましょう。

インボイス制度とは何か|仕組みの大枠や事業者への影響についてわかりやすく解説

インボイスに関して、取引先から「登録しているか」と聞かれたり、請求書の書き方を変えるよう求められたりして、戸惑った方も多いのではないでしょうか。
「消費税やインボイスの制度についてよくわかっていない」という方に向けて、この記事では大枠が掴めるよう、わかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてください。

インボイスとは所定の形式を備えた請求書のこと

消費税は商品やサービスを購入した消費者が負担するものですが、実際に納付をするのは事業者です。その際事業者は、売上に含まれた消費税から仕入れや経費に含まれる消費税を差し引いた金額を納めます。

この差し引く処理を「仕入税額控除」といいます。

ただ、この仕入税額控除を行うには、原則としてインボイスの保存が欠かせません。このルールがインボイス制度(適格請求書等保存方式)として、2023年10月に導入されたのです。

そしてインボイスとは「売り手が買い手に対して、適用税率や消費税額などを正確に伝えるための請求書」であり、定められた一定の情報が明記されていなければなりません。
インボイスのない(請求書がインボイスとしての形式を持たない場合も含む)仕入れや経費については、一定の経過措置や例外的な取引を除き、仕入税額控除を受けることができません。

インボイスに記載しなければならない項目

インボイスとして成立するには、以下の事項が記載されていなければなりません。

  • 事業者の名称(または氏名)および登録番号
  • 取引があった年月日
  • 取引の内容(軽減税率の対象についてはその旨も)
  • 税率別で合計した対価の額や適用税率
  • 税率別の消費税の額
  • 書類の交付を受ける事業者の名称(または氏名)

※小売業・タクシー業など不特定多数への販売を行う事業では、宛名の記載などを省略した「簡易インボイス」を交付することも認められている。

「登録番号」とは、税務署長の登録を受けた事業者だけに付与される番号のことです。つまり、この登録なしにインボイスを発行することはできません。

インボイスの発行に必要な登録について

インボイスの発行を行うには、事前に税務署長に対し「インボイス発行事業者」としての登録申請を行わなければなりません。

その手続き後、登録を受けると税務署から登録番号が通知されます。その番号を請求書に記載することで、取引先が仕入税額控除を適用できるようになります。

登録するかどうかは事業者の任意です。ただし、登録することで消費税の課税事業者となり、申告および納付の義務が生じます。これまで消費税が免除されてきた事業者(課税売上高1,000万円以下など)も、登録後は消費税の申告が必要になることを覚えておきましょう。

また、免税事業者が登録すると、登録日から2年を経過する日が属する課税期間の末日までは、原則として免税の状態へと戻すことはできません。この点にもご注意ください。

課税事業者と免税事業者で変わる対応

同制度への対応や影響に関しては、課税・免税の違いによって次のように異なります。

課税事業者免税事業者
インボイスの発行登録すれば発行できる登録しない限り発行できない
取引先への影響原則として影響なし取引先が仕入税額控除を受けられない可能性がある
登録後の変化消費税の申告・納付義務については変わらない新たに課税事業者となり、消費税の負担が発生する

免税事業者が登録をしないままでいると、取引先は原則としてその取引について仕入税額控除を受けられなくなります。

そのため自身に直接的な影響はなくても、結果として、取引先から価格の見直しを求められたり取引終了を求められたりする可能性は出てきてしまいます。

一方で、売上先が消費者のケース・免税事業者のケースなどでは、相手方がインボイスを必要としないため、取引への実害も生じにくいでしょう。

登録の要否は、取引先の状況も確認しながら判断することが大切です。

負担を和らげる経過措置や特例もチェック

制度への急激な移行に配慮し、複数の経過措置と特例が設けられています。

一つに、免税事業者からの仕入れで「インボイスがなくても一定の割合で仕入税額控除ができる」という経過措置が設けられています。
※制度開始後8年間にわたって段階的に控除割合が引き下げられ、令和13年10月1日以降は控除が受けられなくなる予定。

また、免税されていた事業者が新たに登録をした場合、「納税額を売上に係る消費税の2割に抑える」という特例もあります。
※令和8年9月30日の属する課税期間まで適用可能。

さらに、課税売上高5,000万円以下なら「実際の仕入金額に関係なく業種ごとの一定の割合で消費税を計算できる」という制度の選択も可能となっています。
※事前の届出が必要。

税理士に確認してもらいながら、どの仕組みが利用できるのか、どう対応すると良いのか慎重に判断を進めましょう。

減価償却費について|定額法・定率法による計算や償却方法の選定手続きとは

減価償却費の適切な計算・計上は、企業の税負担軽減や正確な利益を把握するために重要な処理です。耐用年数に応じて取得価額を分割し、償却していきますが、そのときの計算方法には定額法と定率法の2つがあり、所定の手続きにより選択をすることができます。
これら減価償却費に関する基本をここで解説していますので、ぜひご一読ください。

減価償却費計算のポイントは「耐用年数」

減価償却費を計算するときにポイントとなるのは、当該減価償却資産の「耐用年数」の長さです。
まずはどのような資産が減価償却の対象となるのか、そしてその資産についてあらかじめ設定されている耐用年数を確認しておきましょう。

減価償却の対象となる資産

減価償却の対象になる資産は、以下の条件を満たすものです。

  • 業務で利用をする
  • 時間が経過することで価値が減少していく性質のもの
  • 1年以上の使用が可能であるもの
  • 取得価額が10万円以上のもの

また、減価償却資産は大きく「有形減価償却資産」と「無形減価償却資産」の2つに分類することができます。

  1. 有形減価償却資産(物理的な形態を持つもの)
    ・建物
    ・工場
    ・設備
    ・車両
    ・ブロック塀などの構築物
    ・機械装置
    ・パソコン など
  2. 無形減価償却資産(物理的な形態を持たないもの)
    ・ソフトウェア
    ・特許権
    ・意匠権
    ・商標権 など

一方で、土地については経年による劣化はありませんし、建設中の資産、書画や骨董などについても非減価償却資産として扱われます。

財産の種類別の耐用年数

減価償却資産のうち「建物」については、耐用年数20年~40年で設定されているものが比較的多いです。

《 建物の耐用年数の例 》

  • 木造の場合
    • 事業所・・・24年
    • 店舗や住宅・・・22年
    • 飲食店・・・20年
    • 工場や倉庫・・・15年
  • 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の場合
    • 事業所・・・50年
    • 店舗・・・39年
    • 住宅・・・47年
    • 工場や倉庫・・・38年

建物のほか、工具や器具・備品、車両・運搬具、機械・装置なども、構造や用途に応じて細かく耐用年数が設定されています。国税庁が主な減価償却資産について耐用年数を公表していますので、こちらの資料を参考にすると良いでしょう。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

減価償却費の2つの計算方法

減価償却費を計算する方法には「定額法」と「定率法」があります。この2つの計算方法を紹介します。

定額法:毎年定額の計上

定額法は、減価償却資産の「取得価額」に、その償却費の額が毎年同じとなるように当該資産の耐用年数に応じた「償却率」を乗じて計算した金額を、各年分の償却費の額として償却します。
算式は次のとおりです。

なお、耐用年数経過時点において1円まで償却することとされています。

(定額法)
償却費の額 = 取得価額×定額法の償却率

※年の中途から事業用に使い始めた場合は、[本年中に事業に使用していた月数/12]を乗じて算出する。

「定額法の償却率」についてはこちらの償却率等表から確認が取れます。耐用年数5年なら0.200、10年なら0.100、30年なら0.034、50年なら0.020です。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_02.pdf

定率法:初年度に近いほど大きく計上

定率法は、減価償却資産の「取得価額(2年目以後の年分については、取得価額から償却費の累積額を控除した金額を指す未償却残高)」に、その償却費の額が毎年一定割合で逓減するよう耐用年数に対応する「償却率」を乗じて算出した額(調整前償却額)を、各年分の償却費の額として償却します。
算式は次のとおりです。

(定率法 1/2)
償却費の額 = 期首未償却残高×定率法の償却率

※年の中途から事業用に使い始めた場合は、[本年中に事業に使用していた月数/12]を乗じて算出する。

ただし、①調整前償却額(上の算式を用いて算出される償却額)と②償却保証額(取得価額に保証率を乗じて算出される金額)を比較し、①<②となってからは計算方法が変わり、次の算式を用いることとされています。
※①の金額は年々減少していくため、いずれ②の金額を下回る。
※保証率についても償却率と同じくこちらの表から確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_02.pdf

(定率法 2/2)
償却費の額 = 改定取得価額×改定償却率

※改定取得価額とは、最初に①<②となった年の期首未償却残高。
※改定償却率とは、改定取得価額に対し、償却費の額がその後毎年同じとなるよう耐用年数に対応した割合。保証率や償却率同様のこちらの表から確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_02.pdf

定額法と定率法どちらで計算すべきか

基本的に建物や建物附属設備、構築物に関しては定額法により計算を行いますが、法人に関してはその他の減価償却資産も含め償却方法を選択することができます。

償却方法の選定にあたっては、こちらの「減価償却資産の償却方法の届出書」を作成して所轄の税務署に提出しましょう。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/083-1.pdf

そして、いったん選定した償却方法を変更するのなら、こちらの「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を作成して所轄の税務署に提出します。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/tt087.pdf

どの償却方法を選択するべきか、また届出に関しての疑問があるときは税理士にご相談ください。

法人にできる基本的な節税対策をチェック

法人税の負担を適切に抑えることは、企業の資金繰り改善につながり、間接的には事業の成長にもつながります。しかし税制の仕組みは複雑で、何をすればいいのか、何をしてはいけないのかがわからない方も多いのではないでしょうか。当記事では税の専門知識がない方でも理解できるよう、わかりやすく節税対策の基本を紹介していきます。

経費として認められる支出を見直す

節税について考えるときはまず、事業に必要な支出を適切に経費として計上することを意識しましょう。経費が増えれば利益が減り、結果として法人税の負担も軽くなります。

ただし、何でも経費にできるわけではありません。税務上、経費として認められるには「事業を行うために必要な支出」であることが前提です。

判断が難しいものもありますが、たとえば以下の支出については経費計上も可能であるため要チェックです。

  • 業務で使用する車両の維持費やガソリン代
  • 取引先への手土産や贈答品
  • 従業員の福利厚生にかかる費用
  • 事業に関連するセミナーや書籍の購入費 など

適切に経費計上することで、無駄な税負担を避けることができます。ただし、プライベートと事業の両方で使用するものは、事業用途の割合だけを経費にする按分の考え方が必要です。

※按分の割合については、合理的な基準によること。そして記録(面積・使用時間・走行距離など)の裏付けが必要。

減価償却を活用した資産購入のタイミングを検討

設備投資や車両購入などの高額な資産を取得した際、その代金は一度に経費になるわけではありません。数年に分けて経費化していく「減価償却」が必要です。

この仕組みも踏まえて、戦略的に節税対策に取り組むことが大切です。

ただ「中小企業が30万円未満の資産を購入した場合」であれば、一気に全額経費にすることも可能です。同制度を使えば、PCや小型の機械設備などを購入した際、通常なら数年かけて経費化するところを、その年のうちに全額を経費として処理できます。年間の上限は300万円までですが、利益が出そうな年に設備投資を行うことで、効果的な節税につながります。

※中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm

また、予想以上に利益が出ることがわかったとき、決算前に必要な設備を前倒しで購入するというやり方もあります。不要なものを無理に買うのは本末転倒ですが、購入するタイミングを調整するだけで節税効果を高められることもあると知っておきましょう。

役員報酬の設定を工夫

役員報酬は会社の経費になる一方で、受け取る個人には所得税がかかります。そこで会社と個人のトータルでの税負担を考えながら、適切な金額を設定するよう工夫しましょう。

ただし、役員報酬を経費として認めてもらうには原則として毎月同じ金額を支払う「定期同額給与」にする必要があります。期中に変更すると、変更部分が経費として認められなくなる可能性があるため注意してください。

役員に対する賞与に関しても、事前に税務署へ届け出た場合のみ経費になります。届出をせずに支払った賞与は経費にならず、会社側の税負担が増えてしまいますのでこの点も注意しましょう。

退職金制度等の活用

将来の退職金や将来資金の準備に役立つ制度を利用することで、毎年の掛金を経費にしながら節税することもできます。ある年の節税だけでなく、従業員の福利厚生の充実や経営者自身の将来設計にも役立つでしょう。

代表的なものに、従業員向けの「中小企業退職金共済(中退共)」、経営者個人の退職金準備に使える「小規模企業共済」などがあります。

また、取引先倒産に備える制度として「経営セーフティ共済」もあり、こちらも掛金が損金算入できるため節税対策の選択肢として検討する価値はあります。

欠損金の繰越控除

赤字が出た年があるなら、その損失を翌年以降に繰り越して、将来の黒字と相殺することが可能です。

青色申告書を提出している法人であれば原則として最長10年間繰り越すことができ、中小企業(資本金1億円以下の法人など)なら、その年度の所得金額の100%まで欠損金で相殺できます。

税額控除を受けられる投資の検討

投資につながる一定の支出(設備購入や雇用など)に関して、法人税額から直接差し引ける税額控除の仕組みもあります。

経費として利益を減らす方法とは異なり、算出された税額そのものを減らすことができ、高い節税効果を得やすくなっています。

例として「賃上げ促進税制」が挙げられます。従業員の給与をアップした企業に対する税制優遇の制度で、給与の増加率に応じて一定割合を税額控除できます。人材獲得、従業員の士気向上と同時に節税を実現という利点があります。

また、機械装置などの設備投資について取得価額の一定割合を法人税額から控除できる「中小企業投資促進税制」もあります。

このように、節税効果は特定の制度を知っているかどうか・利用するかどうかで変わってきます。税負担に大きな差が生まれることもあるため、税制への広い知識を持つこと、または税理士に相談して対策を検討してもらうことをおすすめします。

赤字を無駄にしない「繰越欠損金」の制度をわかりやすく解説

赤字の計上は本来好ましくない状況ですが、その損失は無駄になるわけではありません。税務上、赤字となった年度の欠損金は繰り越すことが認められています。この制度で翌年度以降に出た黒字と相殺し、税負担を軽減するため、適用方法や適用条件をチェックしていきましょう。

欠損金を繰り越して黒字と相殺できる

ある事業年度で発生した税務上の赤字(欠損金)は、将来の黒字年度に繰り越して課税所得から差し引くことができます。この制度に基づいて繰り越す赤字のことを「繰越欠損金」と呼んでいます。

たとえば、立ち上げの初年度に400万円の赤字を計上した会社があるとしましょう。その翌年には150万円の黒字を出したとします。通常であれば150万円に対して法人税が課税されるのですが、初年度の繰越欠損金の活用で前年の赤字400万円のうち150万円分を相殺でき、課税所得をゼロとできるのです。その結果、法人税の支払いも不要になります。

原則として会社に生じる税は年度ごとで精算されるのですが、同制度があることにより、業績の好不調の波も考慮した長期的な視点で税負担を平滑化できるようになっています。

繰越欠損金の適用ルール

繰越欠損金を正しく活用するには、①適用期間、②控除限度額の2つの重要なルールを理解する必要があります。

適用可能な期間について

欠損金を繰り越すことができる期間には制限があり、次のように欠損金が発生した時期によって異なることに注意してください。

欠損金が発生年度繰越可能な期間
2018年3月31日以前の年度9年間
2018年4月1日以降の年度10年間

もし、2017年4月~翌年3月までを事業年度としており赤字が生じた場合、当該年度における欠損金は9年先までが繰り越しの限度となります。これに対し2018年4月以降、たとえば2025年に発生した赤字については10年先まで繰り越すことが可能です。

なお、複数年度で赤字になったときは古い事業年度の欠損金から優先的に消化します。近い順に消化する仕組みにはなっていないため、古い方の欠損金が無駄になってしまうリスクを心配する必要はないでしょう。

控除限度額について

繰越欠損金をどの程度適用できるか、限度額については事業者の規模によって異なります。

  • 中小法人等の場合  :その年度の所得金額の100%まで控除可能
  • 中小法人等以外の場合:その年度の所得金額の50%まで控除可能
    ※平成30年4月1日以降の年度の場合に50%。それ以前については最大80%まで段階的に限度が設定されている。

同制度上の「中小法人等」に該当するかどうかは、主に資本金に着目して判定します。

当期末において資本金または出資金が1億円以下であるなら、基本的には中小法人等に該当します。ただし、資本金等が5億円を超える大法人と完全支配関係にある場合などには自社も中小法人等に該当しなくなり、限度額に制限がかかります。

繰越控除では青色申告が必須条件

繰越欠損金制度を活用するには、欠損金が生じた年度における「青色申告による確定申告書の提出」が欠かせません。白色申告だと同制度は利用できません。

そこで、繰越控除の適用に先立って青色申告の承認を受ける必要があります。「青色申告の承認申請書」を税務署へ提出する手続きを済ませておきましょう。

※新設法人なら設立から3ヶ月以内、既存法人なら事業年度開始日の前日までに提出。

また、青色申告の承認を前提として、その後継続的に税務申告を行っていなくてはなりません。少なくとも欠損金が発生した年度以降、継続して申告書を提出していることが確認できなければ、当該年度における欠損金を繰り越すことは認められません。業績不振で法人税額がゼロであっても、必ず期限内に申告書を提出しましょう。

個人事業主ができる節税対策とは?3つの手法と注意点を解説

個人事業主として事業を営む方にとって税金対策は、利益を少しでも多く手元に残すための戦略として大きな意味を持ちます。適切な節税対策を実践すれば納税額は合法的に抑えることができ、事業の安定・成長に必要な資金を確保することができるでしょう。

当記事ではそんな節税対策に取り組む際の大きな柱3つと、それぞれで注意すべき点について解説していますので、ぜひ参考にしてください。

手法①青色申告の選択を検討

確定申告は原則的方法にあたる「白色申告」と、任意で選択可能な「青色申告」の2パターンがあります。

白色申告の方が手続きは簡素ですが、青色申告の方が税制上の優遇措置を多く受けられるようになっています。

青色申告者が使える主な制度節税効果
青色申告特別控除最大65万円(e-Taxで提出または電子帳簿保存を行う場合)の所得控除が可能。
家族に対する給与の経費計上青色事業専従者給与として適正な給与を支払うことで経費計上が可能。ただし業務内容と給与額が見合ったものでなければならない。
赤字の繰越控除事業で発生した赤字を最長3年間繰り越して、翌年以降の黒字から相殺することが可能。

本格的な事業活動に取り組んでいる方は、青色申告の選択をおすすめします。

経理業務の負担が増すことに注意

青色申告を選択すると複式簿記による記帳が必要となるなど、経理業務の負担が増えることを覚悟しなければなりません。

日々の取引を正確に記録し、帳簿を作成・保存する義務があるため、経理知識がない方にとってははじめ大きな負担に感じるかもしれません。また、青色申告を行うためには事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があり、新規開業の場合は開業から2ヶ月以内、すでに事業を行っている場合は適用したい年の3月15日までに提出しなければならないため、期限にも注意が必要です。

とはいえ経理業務をすべて事業主自身で対応する必要はありませんので、経理担当者を雇うか記帳業務をアウトソーシングする、あるいは顧問税理士に記帳から申告までを依頼することでこの問題も解決することができるでしょう。

手法②控除制度の有効活用

節税効果を高めるため、税所得を小さくするための所得控除、納税額を小さくするための税額控除の仕組みも有効活用しましょう。

所得控除については、次のように多くの仕組みが用意されています。

所得控除の種類控除が認められるケース
雑損控除・支出額に応じた額を所得から差し引くことができる
・本人や配偶者、親族が損害を受けた場合に適用できる。
医療費控除または
セルフメディケーション税制
・支出額に応じた額を所得から差し引くことができる
・本人や配偶者、親族にかかる医療費を一定額以上、本人が支払った場合に適用できる。
・医療費控除ではなく、健康の維持や疾病予防のための取り組みに対して適用できる「セルフメディケーション税制」へ任意で切り替えることもできる。
社会保険料控除・支出額に応じた額を所得から差し引くことができる
・本人や配偶者、親族にかかる健康保険料や年金保険料などの金額を控除する。
小規模企業共済等掛金控除・支出額に応じた額を所得から差し引くことができる
・個人型年金(iDeCo)の掛金などについて、その全額を所得から差し引く。
生命保険料控除・支出額に応じた額を所得から差し引くことができる
・本人や配偶者、親族が受取人となる生命保険料や個人年金保険料、介護医療保険料などの一部を所得から差し引く。
地震保険料控除・支出額に応じた額を所得から差し引くことができる
・本人や配偶者、親族の資産に対する地震保険料を一部所得から差し引く。
寄附金控除・支出額に応じた額を所得から差し引くことができる
・国や自治体、一定の公益法人に対する寄附金の一部を所得から差し引く。
基礎控除・支出とは関係なく人的要件による。
・本人の所得が2,500万円以下なら、16万円から最大48万円を所得から差し引くことができる。
配偶者控除・支出とは関係なく人的要件による。
・配偶者の所得が48万円以下なら、13万円から最大38万円を所得から差し引くことができる。
配偶者特別控除・支出とは関係なく人的要件による。
・配偶者の所得が133万円以下なら、最大38万円を所得から差し引くことができる。
扶養控除・支出とは関係なく人的要件による。
・配偶者以外の親族(16歳以上)がいるとき、基本的には38万円、最大で58万円を所得から差し引くことができる。
障害者控除・支出とは関係なく人的要件による。 ・本人や配偶者、親族が障害者、または特別障害者であるとき、1人あたり27万円(特別障害者は1人あたり40万円)を所得から差し引くことができる。
寡婦控除・支出とは関係なく人的要件による。
・夫と死別している、または夫と離婚をしており扶養親族がいる場合であって所得が500万円以下なら、27万円を所得から差し引くことができる。
ひとり親控除・支出とは関係なく人的要件による。
・事実上の婚姻関係にもなく、所得500万円以下のひとり親に該当するとき、35万円を所得から差し引くことができる。
勤労学生控除・支出とは関係なく人的要件による。
・児童や学校の生徒、職業訓練生などであって所得が75万円以下の勤労学生であれば、27万円を所得から差し引くことができる。

さらに、税額控除にも「配当控除」「住宅ローン控除」「外国税額控除」などさまざまな制度が用意されています。使えそうな控除制度があるなら有効活用して課税所得または所得税額を下げると良いでしょう。

控除上限額や適用条件に注意

これらの控除制度を活用する際には、それぞれに設定されている控除上限額や適用条件を正確に把握しておく必要があります。

たとえば所得控除において支出に対応する控除が認められる場合でも、その全額が控除できるとは限りません。iDeCoを使った場合でも控除可能な額の上限が設けられていますし、医療費控除についても年間10万円を超えなければ控除ができません。

このように各種制度で独自のルールが設けられているため、税理士にも相談しながら上手く適用させていかないといけません。

手法③経費計上による節税

売上が大きくても、経費の占める割合が大きければ課税所得は小さくなり、所得税の負担は小さくなります。そのため個人事業主として活動するなら支出した経費一つひとつについて証憑を残しておくなど、きちんと管理し、適切に経費計上をしていきましょう。

仕入にかかった費用などはわかりやすい支出ですが、ほかにも家賃や通信費、交通費、消耗品費など、さまざまな支出を経費として計上できます。もし自宅を事業所としても兼用している場合、その家賃についても家事按分して「事業のために使った部分」については経費計上可能です。自宅で発生している通信費についても同様に考えることができます。

プライベートの支出を計上しないよう注意

個人事業主の場合、事業での支出とプライベートでの支出の線引きがあいまいになるケースがあります。たとえば自宅兼事業所として使っている場合の家賃や通信費については「どこまでを経費にしていいのか」という問題が生じます。

このときは事業で使っている部屋の面積に応じて按分するなど、税務署から質問を受けたときに、正当性があることを説得的に説明できる形で計上すべきです。純粋にプライベートで生じた支出を経費として計上することは脱税行為となるため絶対に避けなければなりません。

消費税の課税対象と非課税対象について具体例を挙げて紹介

事業に取り組んでいる方にとって、消費税は無視できない重要な税目の1つです。よく理解しないまま処理していると正確な税額を把握できず、ご自身にとってもリスクがありますのでご注意ください。

まずは、何が課税対象で何が非課税なのかを把握しておきましょう。

消費税課税の基本的なルール

消費税は、すべての取引に発生するわけではありません。以下の4つが課税の条件です。

  • 日本国内で行う取引であること
    ※日本国外で行う取引は対象外。
  • 事業者が事業として行う取引であること
    ※個人事業者・法人が事業の一環として行う取引が対象で、個人的な譲渡や贈与は対象外。
  • 対価(代金)をもらって行う取引であること
    ※お金や何かの見返りをもらう取引が対象で、無料のサービス提供などは対象外。
  • 資産の売却、貸し出し、またはサービス提供のいずれかであること
    ※商品を売る、建物を貸す、サービスを提供するなどの取引が対象。

これらの条件を満たす取引のことを「課税取引」と呼びます。

課税対象と非課税対象の大きな違い

「消費税がかからない」という表現することもありますが、これを細かく見ると、「課税取引に該当しない取引(不課税取引)」と「課税取引に該当するが法律上課税しないと定められている取引(非課税取引)」が存在しています。

課税取引・売上に消費税がかかり、事業者が納税義務を負う
・ほとんどの商品やサービスの販売が対象
非課税取引・法律で「課税しない」と決められた取引で、消費税はかからない
・土地の売却や賃貸、医療、教育関連の取引など
不課税取引・そもそも消費税の対象にならない取引
・国外での販売、無料サービスなど

このような分類があることも知っておくと良いでしょう。

課税される取引例について

多くの取引には消費税が課税され、次のように例示できます。

  • 物品の販売
    (食料品、衣類、機械、建築材料など、商品を売った場合)
  • サービスの提供
    (美容院、運送業、飲食店、Webサイト制作など、サービスを提供した場合)
  • 建物・設備の賃貸
    (オフィスビル、工場などの建物や設備を貸した場合)
  • 建築・請負業
    (建物の建設や工事を請け負った場合)

なお、建物の賃貸のうち貸し出しの目的が「居住」のものについては課税対象の取引から除外されます。

課税されない取引例について

次に掲げる取引が、法律により「課税しない」と定められている非課税取引です。

  • 土地の売却・賃貸、居住用建物の賃貸などの不動産関連取引
  • 社会保険医療に基づく診療、介護保険サービス、社会福祉事業による福祉サービスなど
  • 学校の授業料、入学金、学校が行う教科書の譲渡など
  • 株式などの有価証券の譲渡や受取利息など

なお、取引内容が非課税かどうかは契約内容や実際の提供状況によって判断されます。

たとえば建物を貸すときに「住宅用」と契約していても、実際に事務所として使用されている場合は、消費税がかかる可能性があります。そのため契約書は実情を的確に反映して作成することも重要です。

これら非課税取引に対し、そもそも消費税の対象にならない不課税取引がこちらです。

  • 寄附金、無償でのサービス提供など対価性がない取引
  • 給与、配当金、保険金の受け取りなど事業取引ではないもの
  • 国外での商品販売、国外の会社への役務提供など

このほか、登記や許可など法律に基づく手数料についても不課税です。

課税事業者と免税事業者の違いも重要

消費税の負担に関しては、事業者のカテゴリも重要です。同じ取引を行っても、事業者によって負担が生じたり、反対に負担が生じなかったりします。

免税事業者「消費税の申告・納付義務が免除されている事業者」のこと。 前々年の課税売上高が1,000万円以下、かつ特定期間(個人は前年上半期、法人は前事業年度開始日から6ヶ月間)の課税売上高または給与等支払額が1,000万円以下であれば免税される。 ※新設法人で資本金1,000万円以上などの場合は除く。 免税事業者は、消費税の申告手続きが不要。
課税事業者「消費税の申告・納付義務がある事業者」のこと。 上記免税事業者の条件を満たさない、もしくは適格請求書(インボイス)発行事業者として登録した場合に課税事業者となる。 課税事業者は、消費税の計算・申告・納付に対応しなければならない。

すべての取引、すべての事業者に消費税が課税されるわけではありません。ルールが複雑で税務処理に困ることもあるかと思いますが、事業者の義務として適切に対応していかなくてはなりません。

また、消費税は利益に対して課税される税金ではないため、赤字であっても納税が発生する可能性があり、スタートアップ企業においても注意が必要です。

消費税は注目度が高いため政治における争点になりやすく、今後も継続的に税制改正により変更される可能性が有りますので都度正しい情報を反映していく必要があります。

しかしながら、経理・税務業務にばかり時間を割くのは得策ではなく、専門的な内容については税理士に対応をお任せいただければと思います。正しい処理の方法、計算や申告に関するアドバイスや代行が可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

税務上の優遇措置が受けられる「中小法人」や「中小企業者」とは?

法人税法や租税特別措置法では法人税に関するルールが規律されており、原則的なルールに加え、特定の会社に対する優遇措置についても定められています。措置の内容によって「中小法人」や「中小企業者」などと定義されており、それぞれ若干の違いがあります。

優遇措置の有無が会社の税負担を大きく左右することになるかもしれませんので、定義されている会社の区分を確認しておきましょう。

法人税課税の原則と例外

法人税に関する基本的なルールは法人税法という法律で定められています。そして法人税とは、会社などの法人が事業活動から得た利益に課される税金であり、一般的な税と同じく公平な課税を原則としています。
各社の状況、業績などに関わらず同じ基準で課税され、現在の基本税率は「23.20%」となっています。

しかし、現実の経済では企業の規模や経営状況によって担税力に大きな差があり、特に中小企業は大企業と比べて資金調達力が限られている、経営基盤が比較的脆弱である、景気変動の影響を受けやすい、などの特徴があります。

そこで例外的措置として中小企業を課税上優遇する制度がいくつか設けられているのです。この点において租税特別措置法が重要な役割を担っています。この法律は特定の政策目的の実現を果たすため各税の例外を定めており、たとえば「中小企業の支援」「特定産業の振興」「地域振興」などを目的にさまざまな特例的ルールを置いていて、これに伴い法人税に関する規定も置いてあります。

「資本金1億円以下」が基本的な条件

法人税法および租税特別措置法において税務上の優遇措置を受けるには、「中小法人」や「中小企業者」などの定義に当てはまらないといけません。

また、これらの定義も措置の内容に応じて差異があるため、各措置で定められている定義を確認していかないといけません。

ただ、多くの措置において共通する条件があり、それが「資本金1億円以下」という内容です。資本金の大きさに着目することでまずは会社を区分することができます。

法人税率の軽減措置に関わる「中小法人」

法人税の基本税率は「23.2%」ですが、「中小法人」に該当する会社に関しては2025年4月1日から2027年3月31日まで、年800万円以下の所得金額に対して「15%」の軽減税率を適用することが認められます(本則19%)。
※所得10億円超の中小法人については当該期間中、「17%」が適用されることに注意。

中小法人の定義は比較的シンプルで、以下を満たせば税務上の優遇措置が受けられます。

  • 資本金1億円以下の普通法人であること
  • 資本金5億円以上の法人と完全支配関係がないこと

なお、前3年間の平均所得が15億円を超える法人については適用除外事業者として「15%」ではなく「19%」が適用されます。

そこで中小法人に適用される税率を簡単に整理すると、下表のように区分することができます。

適用対象区分①区分②中小法人に適用される税率
~2027年3月2027年4月以降
年800万円超の部分23.20%
年800万円以下の部分適用除外事業者19%
上記に該当しない単年所得10億円超17%19%
上記に該当しない15%

欠損金の控除限度額に関わる「中小法人等」

欠損金の控除は、過去の赤字(欠損金)を将来の黒字から差し引くことを認める制度です。控除できる金額は当期所得の一定割合に制限されるのですが、「中小法人等」に該当する会社では控除前所得金額が控除限度額となります。

中小法人等と定義されていますが、「等」が付くのは前項で紹介した中小法人に加えて以下の組織も加わるためです。

  • 公益法人等
  • 協同組合等
  • 人格のない社団等

なお、これらの組織は資本金にかかわらず制限のない欠損金の控除が認められます。

貸倒引当金の損金算入に関わる「中小企業者等」

貸倒引当金は将来の貸倒れに備えて計上する引当金のことです。原則として貸倒引当金の損金算入は制限されていますが、「中小企業者等」に該当する会社に関しては一定の損金算入が認められています。

中小企業者等の基本的な要件は中小法人等とおおむね同じですが、公益法人等や人格のない社団等、協同組合等を除く中小法人から適用除外事業者(前3年間の平均所得が15億円を超える法人)を対象外としています。また、法定繰入率の適用において、相互会社と外国相互会社は対象外とするなど細かな規定があります。

交際費等の損金算入限度額に関わる「中小法人等」

交際費は原則として損金不算入ですが、「中小法人等」に該当する会社に関しては、年800万円までの損金算入が認められています。

この優遇措置における中小法人等の特色は、外国法人も対象となり得るという点にあり、より広い範囲の法人を対象としています。また、いくつかの措置では対象外とされている適用除外事業者(前3年間の平均所得が15億円を超える法人)でもこの措置に関しては適用を受けられます。

その他租税特別措置に関わる「中小企業者」

研究開発税制や設備投資促進税制など、さまざまな政策目的に基づく優遇措置がほかにもあります。これらの措置における「中小企業者」の定義はより厳格で、以下の点を考慮して判定する必要があります。

  • 資本金1億円以下
  • 従業員数1,000人以下
  • 大規模法人からの株式保有割合の制限

また、適用除外事業者(前3年間の平均所得が15億円を超える法人)に関してはこれらの措置が受けられません。

なお、税制は毎年のように改正が繰り返されていますので、詳細についてはその都度専門家も頼りながら確認することをお勧めします。