事業に取り組んでいる方にとって、消費税は無視できない重要な税目の1つです。よく理解しないまま処理していると正確な税額を把握できず、ご自身にとってもリスクがありますのでご注意ください。
まずは、何が課税対象で何が非課税なのかを把握しておきましょう。
消費税課税の基本的なルール
消費税は、すべての取引に発生するわけではありません。以下の4つが課税の条件です。
- 日本国内で行う取引であること
※日本国外で行う取引は対象外。 - 事業者が事業として行う取引であること
※個人事業者・法人が事業の一環として行う取引が対象で、個人的な譲渡や贈与は対象外。 - 対価(代金)をもらって行う取引であること
※お金や何かの見返りをもらう取引が対象で、無料のサービス提供などは対象外。 - 資産の売却、貸し出し、またはサービス提供のいずれかであること
※商品を売る、建物を貸す、サービスを提供するなどの取引が対象。
これらの条件を満たす取引のことを「課税取引」と呼びます。
課税対象と非課税対象の大きな違い
「消費税がかからない」という表現することもありますが、これを細かく見ると、「課税取引に該当しない取引(不課税取引)」と「課税取引に該当するが法律上課税しないと定められている取引(非課税取引)」が存在しています。
| 課税取引 | ・売上に消費税がかかり、事業者が納税義務を負う ・ほとんどの商品やサービスの販売が対象 |
| 非課税取引 | ・法律で「課税しない」と決められた取引で、消費税はかからない ・土地の売却や賃貸、医療、教育関連の取引など |
| 不課税取引 | ・そもそも消費税の対象にならない取引 ・国外での販売、無料サービスなど |
このような分類があることも知っておくと良いでしょう。
課税される取引例について
多くの取引には消費税が課税され、次のように例示できます。
- 物品の販売
(食料品、衣類、機械、建築材料など、商品を売った場合) - サービスの提供
(美容院、運送業、飲食店、Webサイト制作など、サービスを提供した場合) - 建物・設備の賃貸
(オフィスビル、工場などの建物や設備を貸した場合) - 建築・請負業
(建物の建設や工事を請け負った場合)
なお、建物の賃貸のうち貸し出しの目的が「居住」のものについては課税対象の取引から除外されます。
課税されない取引例について
次に掲げる取引が、法律により「課税しない」と定められている非課税取引です。
- 土地の売却・賃貸、居住用建物の賃貸などの不動産関連取引
- 社会保険医療に基づく診療、介護保険サービス、社会福祉事業による福祉サービスなど
- 学校の授業料、入学金、学校が行う教科書の譲渡など
- 株式などの有価証券の譲渡や受取利息など
なお、取引内容が非課税かどうかは契約内容や実際の提供状況によって判断されます。
たとえば建物を貸すときに「住宅用」と契約していても、実際に事務所として使用されている場合は、消費税がかかる可能性があります。そのため契約書は実情を的確に反映して作成することも重要です。
これら非課税取引に対し、そもそも消費税の対象にならない不課税取引がこちらです。
- 寄附金、無償でのサービス提供など対価性がない取引
- 給与、配当金、保険金の受け取りなど事業取引ではないもの
- 国外での商品販売、国外の会社への役務提供など
このほか、登記や許可など法律に基づく手数料についても不課税です。
課税事業者と免税事業者の違いも重要
消費税の負担に関しては、事業者のカテゴリも重要です。同じ取引を行っても、事業者によって負担が生じたり、反対に負担が生じなかったりします。
| 免税事業者 | 「消費税の申告・納付義務が免除されている事業者」のこと。 前々年の課税売上高が1,000万円以下、かつ特定期間(個人は前年上半期、法人は前事業年度開始日から6ヶ月間)の課税売上高または給与等支払額が1,000万円以下であれば免税される。 ※新設法人で資本金1,000万円以上などの場合は除く。 免税事業者は、消費税の申告手続きが不要。 |
| 課税事業者 | 「消費税の申告・納付義務がある事業者」のこと。 上記免税事業者の条件を満たさない、もしくは適格請求書(インボイス)発行事業者として登録した場合に課税事業者となる。 課税事業者は、消費税の計算・申告・納付に対応しなければならない。 |
すべての取引、すべての事業者に消費税が課税されるわけではありません。ルールが複雑で税務処理に困ることもあるかと思いますが、事業者の義務として適切に対応していかなくてはなりません。
また、消費税は利益に対して課税される税金ではないため、赤字であっても納税が発生する可能性があり、スタートアップ企業においても注意が必要です。
消費税は注目度が高いため政治における争点になりやすく、今後も継続的に税制改正により変更される可能性が有りますので都度正しい情報を反映していく必要があります。
しかしながら、経理・税務業務にばかり時間を割くのは得策ではなく、専門的な内容については税理士に対応をお任せいただければと思います。正しい処理の方法、計算や申告に関するアドバイスや代行が可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。















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