法人税の負担を適切に抑えることは、企業の資金繰り改善につながり、間接的には事業の成長にもつながります。しかし税制の仕組みは複雑で、何をすればいいのか、何をしてはいけないのかがわからない方も多いのではないでしょうか。当記事では税の専門知識がない方でも理解できるよう、わかりやすく節税対策の基本を紹介していきます。
経費として認められる支出を見直す
節税について考えるときはまず、事業に必要な支出を適切に経費として計上することを意識しましょう。経費が増えれば利益が減り、結果として法人税の負担も軽くなります。
ただし、何でも経費にできるわけではありません。税務上、経費として認められるには「事業を行うために必要な支出」であることが前提です。
判断が難しいものもありますが、たとえば以下の支出については経費計上も可能であるため要チェックです。
- 業務で使用する車両の維持費やガソリン代
- 取引先への手土産や贈答品
- 従業員の福利厚生にかかる費用
- 事業に関連するセミナーや書籍の購入費 など
適切に経費計上することで、無駄な税負担を避けることができます。ただし、プライベートと事業の両方で使用するものは、事業用途の割合だけを経費にする按分の考え方が必要です。
※按分の割合については、合理的な基準によること。そして記録(面積・使用時間・走行距離など)の裏付けが必要。
減価償却を活用した資産購入のタイミングを検討
設備投資や車両購入などの高額な資産を取得した際、その代金は一度に経費になるわけではありません。数年に分けて経費化していく「減価償却」が必要です。
この仕組みも踏まえて、戦略的に節税対策に取り組むことが大切です。
ただ「中小企業が30万円未満の資産を購入した場合」であれば、一気に全額経費にすることも可能です。同制度を使えば、PCや小型の機械設備などを購入した際、通常なら数年かけて経費化するところを、その年のうちに全額を経費として処理できます。年間の上限は300万円までですが、利益が出そうな年に設備投資を行うことで、効果的な節税につながります。
※中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm
また、予想以上に利益が出ることがわかったとき、決算前に必要な設備を前倒しで購入するというやり方もあります。不要なものを無理に買うのは本末転倒ですが、購入するタイミングを調整するだけで節税効果を高められることもあると知っておきましょう。
役員報酬の設定を工夫
役員報酬は会社の経費になる一方で、受け取る個人には所得税がかかります。そこで会社と個人のトータルでの税負担を考えながら、適切な金額を設定するよう工夫しましょう。
ただし、役員報酬を経費として認めてもらうには原則として毎月同じ金額を支払う「定期同額給与」にする必要があります。期中に変更すると、変更部分が経費として認められなくなる可能性があるため注意してください。
役員に対する賞与に関しても、事前に税務署へ届け出た場合のみ経費になります。届出をせずに支払った賞与は経費にならず、会社側の税負担が増えてしまいますのでこの点も注意しましょう。
退職金制度等の活用
将来の退職金や将来資金の準備に役立つ制度を利用することで、毎年の掛金を経費にしながら節税することもできます。ある年の節税だけでなく、従業員の福利厚生の充実や経営者自身の将来設計にも役立つでしょう。
代表的なものに、従業員向けの「中小企業退職金共済(中退共)」、経営者個人の退職金準備に使える「小規模企業共済」などがあります。
また、取引先倒産に備える制度として「経営セーフティ共済」もあり、こちらも掛金が損金算入できるため節税対策の選択肢として検討する価値はあります。
欠損金の繰越控除
赤字が出た年があるなら、その損失を翌年以降に繰り越して、将来の黒字と相殺することが可能です。
青色申告書を提出している法人であれば原則として最長10年間繰り越すことができ、中小企業(資本金1億円以下の法人など)なら、その年度の所得金額の100%まで欠損金で相殺できます。
税額控除を受けられる投資の検討
投資につながる一定の支出(設備購入や雇用など)に関して、法人税額から直接差し引ける税額控除の仕組みもあります。
経費として利益を減らす方法とは異なり、算出された税額そのものを減らすことができ、高い節税効果を得やすくなっています。
例として「賃上げ促進税制」が挙げられます。従業員の給与をアップした企業に対する税制優遇の制度で、給与の増加率に応じて一定割合を税額控除できます。人材獲得、従業員の士気向上と同時に節税を実現という利点があります。
また、機械装置などの設備投資について取得価額の一定割合を法人税額から控除できる「中小企業投資促進税制」もあります。
このように、節税効果は特定の制度を知っているかどうか・利用するかどうかで変わってきます。税負担に大きな差が生まれることもあるため、税制への広い知識を持つこと、または税理士に相談して対策を検討してもらうことをおすすめします。















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