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月別アーカイブ 2026年2月19日

消費税の課税対象と非課税対象について具体例を挙げて紹介

事業に取り組んでいる方にとって、消費税は無視できない重要な税目の1つです。よく理解しないまま処理していると正確な税額を把握できず、ご自身にとってもリスクがありますのでご注意ください。

まずは、何が課税対象で何が非課税なのかを把握しておきましょう。

消費税課税の基本的なルール

消費税は、すべての取引に発生するわけではありません。以下の4つが課税の条件です。

  • 日本国内で行う取引であること
    ※日本国外で行う取引は対象外。
  • 事業者が事業として行う取引であること
    ※個人事業者・法人が事業の一環として行う取引が対象で、個人的な譲渡や贈与は対象外。
  • 対価(代金)をもらって行う取引であること
    ※お金や何かの見返りをもらう取引が対象で、無料のサービス提供などは対象外。
  • 資産の売却、貸し出し、またはサービス提供のいずれかであること
    ※商品を売る、建物を貸す、サービスを提供するなどの取引が対象。

これらの条件を満たす取引のことを「課税取引」と呼びます。

課税対象と非課税対象の大きな違い

「消費税がかからない」という表現することもありますが、これを細かく見ると、「課税取引に該当しない取引(不課税取引)」と「課税取引に該当するが法律上課税しないと定められている取引(非課税取引)」が存在しています。

課税取引・売上に消費税がかかり、事業者が納税義務を負う
・ほとんどの商品やサービスの販売が対象
非課税取引・法律で「課税しない」と決められた取引で、消費税はかからない
・土地の売却や賃貸、医療、教育関連の取引など
不課税取引・そもそも消費税の対象にならない取引
・国外での販売、無料サービスなど

このような分類があることも知っておくと良いでしょう。

課税される取引例について

多くの取引には消費税が課税され、次のように例示できます。

  • 物品の販売
    (食料品、衣類、機械、建築材料など、商品を売った場合)
  • サービスの提供
    (美容院、運送業、飲食店、Webサイト制作など、サービスを提供した場合)
  • 建物・設備の賃貸
    (オフィスビル、工場などの建物や設備を貸した場合)
  • 建築・請負業
    (建物の建設や工事を請け負った場合)

なお、建物の賃貸のうち貸し出しの目的が「居住」のものについては課税対象の取引から除外されます。

課税されない取引例について

次に掲げる取引が、法律により「課税しない」と定められている非課税取引です。

  • 土地の売却・賃貸、居住用建物の賃貸などの不動産関連取引
  • 社会保険医療に基づく診療、介護保険サービス、社会福祉事業による福祉サービスなど
  • 学校の授業料、入学金、学校が行う教科書の譲渡など
  • 株式などの有価証券の譲渡や受取利息など

なお、取引内容が非課税かどうかは契約内容や実際の提供状況によって判断されます。

たとえば建物を貸すときに「住宅用」と契約していても、実際に事務所として使用されている場合は、消費税がかかる可能性があります。そのため契約書は実情を的確に反映して作成することも重要です。

これら非課税取引に対し、そもそも消費税の対象にならない不課税取引がこちらです。

  • 寄附金、無償でのサービス提供など対価性がない取引
  • 給与、配当金、保険金の受け取りなど事業取引ではないもの
  • 国外での商品販売、国外の会社への役務提供など

このほか、登記や許可など法律に基づく手数料についても不課税です。

課税事業者と免税事業者の違いも重要

消費税の負担に関しては、事業者のカテゴリも重要です。同じ取引を行っても、事業者によって負担が生じたり、反対に負担が生じなかったりします。

免税事業者「消費税の申告・納付義務が免除されている事業者」のこと。 前々年の課税売上高が1,000万円以下、かつ特定期間(個人は前年上半期、法人は前事業年度開始日から6ヶ月間)の課税売上高または給与等支払額が1,000万円以下であれば免税される。 ※新設法人で資本金1,000万円以上などの場合は除く。 免税事業者は、消費税の申告手続きが不要。
課税事業者「消費税の申告・納付義務がある事業者」のこと。 上記免税事業者の条件を満たさない、もしくは適格請求書(インボイス)発行事業者として登録した場合に課税事業者となる。 課税事業者は、消費税の計算・申告・納付に対応しなければならない。

すべての取引、すべての事業者に消費税が課税されるわけではありません。ルールが複雑で税務処理に困ることもあるかと思いますが、事業者の義務として適切に対応していかなくてはなりません。

また、消費税は利益に対して課税される税金ではないため、赤字であっても納税が発生する可能性があり、スタートアップ企業においても注意が必要です。

消費税は注目度が高いため政治における争点になりやすく、今後も継続的に税制改正により変更される可能性が有りますので都度正しい情報を反映していく必要があります。

しかしながら、経理・税務業務にばかり時間を割くのは得策ではなく、専門的な内容については税理士に対応をお任せいただければと思います。正しい処理の方法、計算や申告に関するアドバイスや代行が可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

税務上の優遇措置が受けられる「中小法人」や「中小企業者」とは?

法人税法や租税特別措置法では法人税に関するルールが規律されており、原則的なルールに加え、特定の会社に対する優遇措置についても定められています。措置の内容によって「中小法人」や「中小企業者」などと定義されており、それぞれ若干の違いがあります。

優遇措置の有無が会社の税負担を大きく左右することになるかもしれませんので、定義されている会社の区分を確認しておきましょう。

法人税課税の原則と例外

法人税に関する基本的なルールは法人税法という法律で定められています。そして法人税とは、会社などの法人が事業活動から得た利益に課される税金であり、一般的な税と同じく公平な課税を原則としています。
各社の状況、業績などに関わらず同じ基準で課税され、現在の基本税率は「23.20%」となっています。

しかし、現実の経済では企業の規模や経営状況によって担税力に大きな差があり、特に中小企業は大企業と比べて資金調達力が限られている、経営基盤が比較的脆弱である、景気変動の影響を受けやすい、などの特徴があります。

そこで例外的措置として中小企業を課税上優遇する制度がいくつか設けられているのです。この点において租税特別措置法が重要な役割を担っています。この法律は特定の政策目的の実現を果たすため各税の例外を定めており、たとえば「中小企業の支援」「特定産業の振興」「地域振興」などを目的にさまざまな特例的ルールを置いていて、これに伴い法人税に関する規定も置いてあります。

「資本金1億円以下」が基本的な条件

法人税法および租税特別措置法において税務上の優遇措置を受けるには、「中小法人」や「中小企業者」などの定義に当てはまらないといけません。

また、これらの定義も措置の内容に応じて差異があるため、各措置で定められている定義を確認していかないといけません。

ただ、多くの措置において共通する条件があり、それが「資本金1億円以下」という内容です。資本金の大きさに着目することでまずは会社を区分することができます。

法人税率の軽減措置に関わる「中小法人」

法人税の基本税率は「23.2%」ですが、「中小法人」に該当する会社に関しては2025年4月1日から2027年3月31日まで、年800万円以下の所得金額に対して「15%」の軽減税率を適用することが認められます(本則19%)。
※所得10億円超の中小法人については当該期間中、「17%」が適用されることに注意。

中小法人の定義は比較的シンプルで、以下を満たせば税務上の優遇措置が受けられます。

  • 資本金1億円以下の普通法人であること
  • 資本金5億円以上の法人と完全支配関係がないこと

なお、前3年間の平均所得が15億円を超える法人については適用除外事業者として「15%」ではなく「19%」が適用されます。

そこで中小法人に適用される税率を簡単に整理すると、下表のように区分することができます。

適用対象区分①区分②中小法人に適用される税率
~2027年3月2027年4月以降
年800万円超の部分23.20%
年800万円以下の部分適用除外事業者19%
上記に該当しない単年所得10億円超17%19%
上記に該当しない15%

欠損金の控除限度額に関わる「中小法人等」

欠損金の控除は、過去の赤字(欠損金)を将来の黒字から差し引くことを認める制度です。控除できる金額は当期所得の一定割合に制限されるのですが、「中小法人等」に該当する会社では控除前所得金額が控除限度額となります。

中小法人等と定義されていますが、「等」が付くのは前項で紹介した中小法人に加えて以下の組織も加わるためです。

  • 公益法人等
  • 協同組合等
  • 人格のない社団等

なお、これらの組織は資本金にかかわらず制限のない欠損金の控除が認められます。

貸倒引当金の損金算入に関わる「中小企業者等」

貸倒引当金は将来の貸倒れに備えて計上する引当金のことです。原則として貸倒引当金の損金算入は制限されていますが、「中小企業者等」に該当する会社に関しては一定の損金算入が認められています。

中小企業者等の基本的な要件は中小法人等とおおむね同じですが、公益法人等や人格のない社団等、協同組合等を除く中小法人から適用除外事業者(前3年間の平均所得が15億円を超える法人)を対象外としています。また、法定繰入率の適用において、相互会社と外国相互会社は対象外とするなど細かな規定があります。

交際費等の損金算入限度額に関わる「中小法人等」

交際費は原則として損金不算入ですが、「中小法人等」に該当する会社に関しては、年800万円までの損金算入が認められています。

この優遇措置における中小法人等の特色は、外国法人も対象となり得るという点にあり、より広い範囲の法人を対象としています。また、いくつかの措置では対象外とされている適用除外事業者(前3年間の平均所得が15億円を超える法人)でもこの措置に関しては適用を受けられます。

その他租税特別措置に関わる「中小企業者」

研究開発税制や設備投資促進税制など、さまざまな政策目的に基づく優遇措置がほかにもあります。これらの措置における「中小企業者」の定義はより厳格で、以下の点を考慮して判定する必要があります。

  • 資本金1億円以下
  • 従業員数1,000人以下
  • 大規模法人からの株式保有割合の制限

また、適用除外事業者(前3年間の平均所得が15億円を超える法人)に関してはこれらの措置が受けられません。

なお、税制は毎年のように改正が繰り返されていますので、詳細についてはその都度専門家も頼りながら確認することをお勧めします。