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法人の種類と特徴を解説|営利・非営利、事業内容、課税方法の違いなど

法人の種類と特徴を解説|営利・非営利、事業内容、課税方法の違いなど

法人には「株式会社」や「合同会社」、「一般社団法人」や「一般財団法人」、「NPO法人」など様々な種類があります。それぞれ設立要件やできる事業内容、税金の負担などに違いがありますので、何か事業を始めるときは法人の選択にも注意が必要です。

ここではその区分と、よく設立されている法人についてそれぞれの特徴を紹介していきます。

法人の種類と区分

法人には、次に挙げるもの、その他様々な種類が存在しています。

  • 株式会社
  • 合同会社
  • 合資会社
  • 合名会社
  • 一般社団法人
  • 公益社団法人
  • 一般財団法人
  • 公益財団法人
  • NPO法人 など

これらの法人を区分する方法はいくつかあります。例えば営利法人と非営利法人の違い、できる事業内容の違い、税金の課税方法違いなどです。

営利法人と非営利法人の違い

営利と非営利の違いについては「利益を求めるかどうか」「儲けを出すかどうか」といったイメージをされていることもあります。

しかし、正しくは「構成員に利益が還元されるかどうか」の違いです。

株式会社なら構成員である株主に利益が還元されるのはよく知られていることで、その性質上、営利法人に該当します。合同会社や合資会社、合名会社も同様です。

一方、構成員に利益分配を行わない非営利法人には一般社団法人、一般財団法人などがあります。一般社団法人などは非営利法人ですが、収益事業を遂行することに問題はありませんし、運営を続けていくにはある程度利益を出すことも必要です。

事業内容の違い

法人の種類によってはできる事業内容に制限がかかっています。

株式会社や合同会社であれば制限なく様々な事業を営むことが可能ですが、公益社団法人や公益財団法人のような公益法人については公益性のある特定の事業(学術研究、社会福祉事業、環境保全事業、教育事業など)を主として営む必要があります。

また、「特定非営利活動法人」であるNPO法人も当然特定の活動しか行うことが認められていません。他にも宗教法人や医療法人など、特定の事業を前提とした法人については事業内容に制限がかかります。

課税方法の違い

個人に対しては画一的に所得税が適用されます。実際に納付する税金は人により異なりますが、同じルールに基づいて課税されます。

しかし法人の場合は法人の種類に応じてルールが異なります。特に公益性のある法人については、特定の事業から得られる所得が非課税になることもあり、税負担に差が出るケースもあります。

株式会社/合同会社について(営利法人)

株式会社は営利法人の1種で、株式を割り当てられた株主が会社構成員(社員)となります。最終的な意思決定は株主総会で決せられ、取締役が会社から委任を受けて経営の役割を担います。また、株式は譲渡できるのが原則であり、社員(株主)の流動性が高いのも特徴です。

合同会社も株式会社に並ぶ代表的な営利法人です。設立件数は歴史の長い株式会社の方が多いものの、徐々に設立件数を伸ばしてきており、知名度も上がってきています。社員が有限責任であるなど株式会社との共通点も多いですが、社員の流動性がほとんどなく、人と人の結びつきが強いという特徴を持ちます。

その他、設立コスト(合同会社の方が低コスト)、役員の任期(株式会社では取締役の任期は原則2年、合同会社では制限なし)、公告の義務(合同会社には義務がない)などに違いがあります。

他方、法人税の課税については中小法人ならいずれも15%(課税所得800万円以下の部分)、23.20%(課税所得800万円超の部分)と同じ税率が適用されます。

合資会社や合名会社との違い

株式会社や合同会社とよく比較される法人に「合資会社」と「合名会社」があります。

これらは合同会社と同じ持分会社に区分される法人で、株式会社のように社員の流動性が高くありません。所有と経営が一致し、出資者が経営者として活動することになります。

ただ、合同会社とは違い、無限責任を負う社員が存在しています。会社として債務を弁済することができない場合は、社員がその責任追及を受けるリスクを負います。

  • 合資会社:有限責任社員と無限責任社員の両方がいる
  • 合名会社:有限責任社員のみで構成される

一般社団法人/一般財団法人について(非営利法人)

非営利法人の中でよく知られている法人には一般社団法人と一般財団法人がいます。

  • 一般社団法人:人の集まりが基礎となり成立する法人
  • 一般財団法人:財産の集まりが基礎となり成立する法人

どちらも社員に利益分配ができませんが、公益性のない事業ができないわけでもありません。

課税方法についても両社ともに共通しており、株式会社等とは異なる性質を持っています。非営利の事業から得た所得については非課税。その他収益事業から生じた所得については原則通りの法人税が課税されます。

なお、一般社団法人や一般財団法人は、公益認定申請を行うことで「公益社団法人」や「公益財団法人」になることができます。公益性を持たせることなど厳しい認定基準を満たし、その状態を維持することが求められますが、より手厚い税制上の優遇措置を受けることが可能となります。

NPO法人について(非営利法人)

NPO法人は非営利法人であって、社会貢献に資する特定の活動のみが認められている法人です。

学術研究や文化・芸術・スポーツに関する事業、他にも、社会教育・観光・まちづくり・災害救援などに関する事業、全20種のどれかに限って活動することができます。

これらの事業から生じた所得については法人税が非課税です。制限はあるものの、税金の面では大きく優遇されている法人です。

法人の種類に悩んでいる方は、法人設立に強い専門家にアドバイスを求めましょう。設立手続や事業内容の違い、税金の負担の違いなどを考慮して、最適な答えに近づくことができます。

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鷲津裕税理士事務所 administrator

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