減価償却費の適切な計算・計上は、企業の税負担軽減や正確な利益を把握するために重要な処理です。耐用年数に応じて取得価額を分割し、償却していきますが、そのときの計算方法には定額法と定率法の2つがあり、所定の手続きにより選択をすることができます。
これら減価償却費に関する基本をここで解説していますので、ぜひご一読ください。
減価償却費計算のポイントは「耐用年数」
減価償却費を計算するときにポイントとなるのは、当該減価償却資産の「耐用年数」の長さです。
まずはどのような資産が減価償却の対象となるのか、そしてその資産についてあらかじめ設定されている耐用年数を確認しておきましょう。
減価償却の対象となる資産
減価償却の対象になる資産は、以下の条件を満たすものです。
- 業務で利用をする
- 時間が経過することで価値が減少していく性質のもの
- 1年以上の使用が可能であるもの
- 取得価額が10万円以上のもの
また、減価償却資産は大きく「有形減価償却資産」と「無形減価償却資産」の2つに分類することができます。
- 有形減価償却資産(物理的な形態を持つもの)
・建物
・工場
・設備
・車両
・ブロック塀などの構築物
・機械装置
・パソコン など - 無形減価償却資産(物理的な形態を持たないもの)
・ソフトウェア
・特許権
・意匠権
・商標権 など
一方で、土地については経年による劣化はありませんし、建設中の資産、書画や骨董などについても非減価償却資産として扱われます。
財産の種類別の耐用年数
減価償却資産のうち「建物」については、耐用年数20年~40年で設定されているものが比較的多いです。
《 建物の耐用年数の例 》
- 木造の場合
- 事業所・・・24年
- 店舗や住宅・・・22年
- 飲食店・・・20年
- 工場や倉庫・・・15年
- 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の場合
- 事業所・・・50年
- 店舗・・・39年
- 住宅・・・47年
- 工場や倉庫・・・38年
建物のほか、工具や器具・備品、車両・運搬具、機械・装置なども、構造や用途に応じて細かく耐用年数が設定されています。国税庁が主な減価償却資産について耐用年数を公表していますので、こちらの資料を参考にすると良いでしょう。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
減価償却費の2つの計算方法
減価償却費を計算する方法には「定額法」と「定率法」があります。この2つの計算方法を紹介します。
定額法:毎年定額の計上
定額法は、減価償却資産の「取得価額」に、その償却費の額が毎年同じとなるように当該資産の耐用年数に応じた「償却率」を乗じて計算した金額を、各年分の償却費の額として償却します。
算式は次のとおりです。
なお、耐用年数経過時点において1円まで償却することとされています。
(定額法)
償却費の額 = 取得価額×定額法の償却率
※年の中途から事業用に使い始めた場合は、[本年中に事業に使用していた月数/12]を乗じて算出する。
「定額法の償却率」についてはこちらの償却率等表から確認が取れます。耐用年数5年なら0.200、10年なら0.100、30年なら0.034、50年なら0.020です。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_02.pdf
定率法:初年度に近いほど大きく計上
定率法は、減価償却資産の「取得価額(2年目以後の年分については、取得価額から償却費の累積額を控除した金額を指す未償却残高)」に、その償却費の額が毎年一定割合で逓減するよう耐用年数に対応する「償却率」を乗じて算出した額(調整前償却額)を、各年分の償却費の額として償却します。
算式は次のとおりです。
(定率法 1/2)
償却費の額 = 期首未償却残高×定率法の償却率
※年の中途から事業用に使い始めた場合は、[本年中に事業に使用していた月数/12]を乗じて算出する。
ただし、①調整前償却額(上の算式を用いて算出される償却額)と②償却保証額(取得価額に保証率を乗じて算出される金額)を比較し、①<②となってからは計算方法が変わり、次の算式を用いることとされています。
※①の金額は年々減少していくため、いずれ②の金額を下回る。
※保証率についても償却率と同じくこちらの表から確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_02.pdf
(定率法 2/2)
償却費の額 = 改定取得価額×改定償却率
※改定取得価額とは、最初に①<②となった年の期首未償却残高。
※改定償却率とは、改定取得価額に対し、償却費の額がその後毎年同じとなるよう耐用年数に対応した割合。保証率や償却率同様のこちらの表から確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_02.pdf
定額法と定率法どちらで計算すべきか
基本的に建物や建物附属設備、構築物に関しては定額法により計算を行いますが、法人に関してはその他の減価償却資産も含め償却方法を選択することができます。
償却方法の選定にあたっては、こちらの「減価償却資産の償却方法の届出書」を作成して所轄の税務署に提出しましょう。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/083-1.pdf
そして、いったん選定した償却方法を変更するのなら、こちらの「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を作成して所轄の税務署に提出します。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/tt087.pdf
どの償却方法を選択するべきか、また届出に関しての疑問があるときは税理士にご相談ください。















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